2011年04月08日

なぞの放射線

 大阪では雨になった。
 3・11から初めての本格的な雨である。
 
 昭和時代のSFジュヴナイル『なぞの転校生』(眉村卓)で、パラレルワールドから疎開してきた転校生・山沢典夫が、雨に核爆弾実験で生じた放射能が含まれている、と言って怖がるシーンがあった。 
  
「あの雨の中には原水爆実験による放射能が含まれている……ぼくは、それがこわいんだ……致命的なんだ……。」 
  
  
 そんなのが怖いのか、と言うクラスメイトとの議論になり、議論はやがて科学の発展についてのテーマへと広がっていく。
 
「あの雨の中には原水爆実験による放射能が含まれている……ぼくは、それがこわいんだ……致命的なんだ……。」
 
「な、この世界でいちばんこわいのはなんだ?それは科学のいきすぎによる人類の自滅じゃないか……みんな、気にしていないらしいが、雨の中の放射能だって、どれだけおそろしいものか……それを考えたことはないのか。」
 
「みんな、知らないんだ。こわさを知らないんだ」
  
「原子爆弾……水爆……ニュートロン爆弾……ミサイル……そんな、いつ頭の上でばくはつするかわからない世界に住んでいて、よくそれだけ平気でいられますね。このD-15世界じゃ、なるほど少しばかり科学の発達はおくれています。が、どうせ時間の問題なんだ……おそかれ早かれ、核戦争はおこるんだ……ぼくたちは、ここなら核戦争はおこらずにすむと思ったのに……。」
 
  
  
 なかなか難しいテーマである。
 あの時代、少年少女向けのSFジュヴナイル作品で、ここまで突っ込んで議論していたのである。
 非常に問題意識が高い時代だったんだなあ。
 ここで語られているテーマは、現在でも、いや現在でこそ重要なテーマではないだろうか。
「原水爆実験」を「原子力発電」に置き換えると、現在まさしく我々が直面しているテーマではありませんか。
  
 現在を思えば、金と権力に物を言わせた洗脳工作により、多くの人は思考停止状態となっている。
 原子力発電が全く危険でいい加減に設計され運用されていたことが日々明らかになってる。
 そして我々の安全が脅かされ、食糧や飲み水、海洋や空気までも日々汚染が広がっていっている。
 私のツイッターのTLは原発反対の意見がほとんどであるのだが、世間一般から見ればこれは極少数派である。
 世間一般の多数派においては、現在においても、原子力発電に対する議論はほとんど起こっていない。
  
 先日、『朝まで生テレビ』で原発問題がテーマになっていたそうである。
 私は見なかったが、ツイッターで書いていた人によると、司会者から出席者まで原発肯定派で固められて原発PR番組と化していたそうである。
 この番組、始まった当初は敵・味方がはっきりしていたと思うが。
 こんなところを見ても、現在日本ではジャーナリズムも民主制も風前の灯の瀕死状態であると分かる。
   
 原子力発電が本当に安全なら、トラブルは1つやせいぜい2つで終わったはずである。ところが稼働中の4つとも全てがトラブルを起こしたのである。つまり稼働中の原発が地震でトラブルを起こす確率は100パーセントなのである。
 もし東海地方や近畿地方で今回と同じ規模の地震が発生すればどうなるのか。
 現在稼働中の原発を止めようという声は全く大きくなっていない。
 全く理解に苦しむ。
 
「科学の発達バンザーイ!」
「原子力発電パンザーイ!」
「大日本帝国バンザーイ!」
「ハイル・ヒットラー!」
「ハイル・シンタロー!」
「ジーク・維新! ジーク・維新! ジーク・維新! ジーク・維新!」

……といったところか。
 
 昭和40年代、50年代の人々はジュブナイルSF小説ですらも行き過ぎた科学の進歩に対して問題意識を持ち、考えていた。
 21世紀に入った今、人々は金と権力のプロパガンダに洗脳され、無批判に原子力の暴走を受け入れている。
 これは人々の思考力の退化、幼児化、白痴化ではないだろうか。
 或いは暴走資本主義の奴隷化・家畜化か。
 安全と命を危険にさらしながら何も考えずにのののほーんと
「ぽぽぽぽーん」
と言ってる場合か。頭の中がぽぽぽぽーんか!
  
 科学の進歩と暴走。そしてその技術に携わる人や組織はそれを管理するに値する人や組織であるのか。
 我々は行き過ぎた科学に対して無批判に思考停止するのではなく、昭和40年代、50年代の少年少女がしていたように、問題意識を持って考え直すべきではないだろうか。
 
 
なぞの転校生
  http://sfclub.sakura.ne.jp/sf06.htm
   
なぞの転校生(NHK少年ドラマシリーズ版)
  http://sfclub.web.infoseek.co.jp/nazonotenkousei.htm
  
なぞの転校生(ウィキペディアによる説明)
  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AA%E3%81%9E%E3%81%AE%E8%BB%A2%E6%A0%A1%E7%94%9F
  
 SFベストセラーズには『黒の放射線』(中尾明)という作品も収録されていた。
 もっとも、これは放射線は全く関係ない話だったわけだが……。
 
なぞの転校生 (講談社青い鳥文庫fシリーズ) [新書] / 眉村 卓 (著); 緒方 剛志 (イラスト); 講談社 (刊)  なぞの転校生 [DVD] / 新山千春, 佐藤康恵, 妻夫木聡 (出演); 眉村卓 (原著); 小中和哉 (監督) NHK少年ドラマシリーズ なぞの転校生 I [DVD] / 高野浩幸, 星野利晴, 伊豆田依子 (出演); 眉村卓 (原著)  NHK少年ドラマシリーズ なぞの転校生 II [DVD] / 高野浩幸, 星野利晴, 伊豆田依子 (出演); 眉村卓 (原著)
  
NHK少年ドラマ・アンソロジーI [DVD] / 島田淳子, 木下清, 長谷川諭, 沢村正一 (出演); 筒井康隆, 光瀬龍 (原著) NHK少年ドラマシリーズ アンソロジーII [DVD] / 佐藤宏之, 稲垣昭三, 石橋正次, 高瀬春奈 (出演); 眉村卓, 小松左京 (原著) NHK少年ドラマシリーズ 少年ドラマアンソロジーIII [DVD] / 宮廻夏穂, すのうち滋之, 安藤一人, ドワイト・ワードロン, 白川由美 (出演); 宮澤賢治 (原著); 別役実, 田波靖男 (脚本) NHK少年ドラマシリーズのすべて [大型本] / 増山 久明 (著); アスキー (刊)
  
  
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posted by SF Kid at 22:37| Comment(0) | TrackBack(1) | 空想科学小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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