2014年10月28日

星新一「白い服の男」 2014年の日本を予見する作品

白い服の男 (新潮文庫)


 ショートショートより少し長めの短編が10編収録されています。
 以前一度読んだのが整理していて出てきたので再読。
 何だか爽快感がなく、欲求不満を感じながら読みました。
 私としては最初に読む星新一作品としてはおすすめできません。
 以前読んだ時も、そういった違和感を感じたのだと思います。読んだはずなのに、全く記憶から抜け落ちていました。

 
 
 過去にも何度か書きましたが、何でも創作するのは大変なものです。ケチつけるのは簡単です。 
 本も読み過ぎるとすれっからしになってケチをつけたくなるものですが、創作する方がケチつけるより崇高な行為です。

 
少年少女・ネタバレ談話室(ネタばらし注意!)
 贋作『坊っちゃん』殺人事件 の暗澹
   http://sfclub.sblo.jp/article/86829531.html
「でも何だかんだ言っても、創作者が一番偉い。後からケチつけるのは誰でもできる。」

  
ドラマ金田一耕助VS明智小五郎 ここがヘンだよ
   http://sfclub.sblo.jp/article/77171205.html
「作品にケチをつけるのは、作品があってこそ。まず作品があって初めてできる行為であります。
 作品を創るのが一番偉く、それを批評するのは二次的行為・従属的行為であります。」

 
OLDIES 三丁目のブログ
■[日々の冒険]丑三つ時から夜明けまで 名前はついになかった
   http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20140920/p1
「私は絶対的な読書量が少ないので、何を読んでも面白く感じられます。」

    
 私も小説は書く能力はなく、とても偉そうに他人様の作品を批判する立場にはありません。
 しかも本書はSFの神様・星新一様の作品です。
 批判することなど許されない行為です。
 しかし特定秘密保護法で言論の自由が失われる直前の時期。
 書きたいことが書けるのはこれが最後の機会かもしれません。
 罰当たりを承知で、あえて失礼な感想を書かせて頂きます。

 
「月曜日の異変」
「興信所」
「ねぼけロボット」
は、そんなに長く引っ張るような作品でもないような気がします。
 落語のまくらの小噺のようなオチで、ガックリ。

     
「悪への挑戦」「老人と孫」は非常にブラック。
 この作品の執筆当時、星さんは心理的に辛い時期だったのではないかと思わせる内容。

   
「矛盾の凶器」この作品だけ、かすかに以前読んだ記憶がありました。
 極限状態での捜査を描く佳作。

   
「時の渦」は非常にスケールの大きい作品。
 本文庫は単行本「午後の恐竜」を2分冊にしたようですが、表題作「午後の恐竜」と対をなすかのような作品。
 ただ、オチは、一般的な日本人の宗教観から見てピンと来ない。欧米人の宗教観ならピンと来たかもしれません。

 
そして問題の表題作「白い服の男」です。
 読んでいて爽快感がなく、むしろ不快感・嫌悪感を抱かせるような展開で、結末も腑に落ちません。一体この作品は、何を表しているのか分かりません。
 ウィキペディアにも「星の真意は不明であるが」との記述があります。
 言葉狩りのような偽善行為を批判しているのでしょうか。
 言葉狩りを批判して一時期断筆宣言されていた筒井康隆さんの作品だとしたら、納得できたのかもしれません。
 そういえば「特殊大量殺人機」「老人と孫」は、筒井康隆のショートショート風ブラックな展開です。(というようなことを書くと、熱心なファンの方に「それは違う」と批判されそう。所詮私のレベルはこの程度なんです。失礼ご容赦下さい)

    
 しかしよく考えれば、「白い服の男」的展開は、実は2014年の日本で進行中なのではないかと。
 一新聞社による一つの証言の撤回によって、日本の政権及びその御用マスゴミによる、歴史的事実全てをなかったことにし・歴史を都合よく改竄しようとする試みが開始され、強力に進行中です。
 歴史教育や歴史教科書の介入から始まり、過去の政府見解まで、全てが書き換えられようとされています。
 それに呼応するかのように、大き目の書店に行けば、そういった本がコーナーを作って嫌というほど並んでいます。そのコーナーだけ日本の軍国主義独裁制を先取りしているようです。いずれはその風潮が他のコーナーに広まっていくのでしょうか。
 この苛烈な思想統制・思想弾圧の象徴は「白い服」ではなく、「黒い服」「灰色の服」「茶色の服」「カーキ色の服」「迷彩色の服」。それとも、「アベ色の服」でしょうか。

 
 星新一さんが本書を執筆された時代、戦後民主主義の風潮が強かった時代だったのでしょう。
 しかし世の中の風潮は大きく変わり、本作品とは正反対の状況で「白い服の男」的状況が実現しているのではないでしょうか。
 もし今の時代に星新一さんが存命であったら、もっと違った内容の作品を描かれたのかもしれません。

 
(追記)検索すると、想像した通り、「愛国」寄りの方が「平和」主義者や護憲派を批判する文脈で言及した記述もちらほらと見られます。
 念のためはっきり書いておきます。
 2014年現在の日本は、本作品と正反対の状況で現実化しているのです。
「平和」ではなく「愛国」が至上原理とされています。「イッポンヲ、トレモロス!」
「愛国」のためなら捏造、弾圧、脅迫、ヘイトデモ、何でもあり。
 言ってはならぬ言葉は「従軍慰安婦」「強制連行」「南京虐殺」「戦争責任」。
 それとも、「朝日」でしょうか。
 そして2014年12月10日、特定秘密保護法の施行。
 ブログで書いてはならないことを書いた私の所に、「アベ色の服の男」が……。
 ブログの更新が止まった時は、逮捕されたものと思って下さい。
 いや、ブログそのものが削除されるのでしょうか。

 
Field of Dreams: 白い服の男
  http://harimanokuni2007.blogspot.jp/2014/01/blog-post_9.html


有沢翔治のlivedoorブログ
 星新一『白い服の男』(新潮社)
  http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/50911472.html


ホシ計画第447回「白い服の男」
  http://www.usamimi.info/~hoshi/cgi-bin/hoshi-keikaku/html/hoshi-keikaku-0447.htm


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  http://sfclub.sakura.ne.jp/sano01.htm

  
  [wikipedia:白い服の男]  [wikipedia:特殊大量殺人機]


はてなキーワード 白い服の男
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