2015年03月24日

辻真先『四国・坊っちゃん列車殺人号』中学時代の演劇仲間のその後 悲しいね切ないね

20150326065836.jpg 四国・坊っちゃん列車殺人号 (光文社文庫)
   ★四国・坊っちゃん列車殺人号


赤シャツが死に、
タヌキ校長は行方不明
マドンナをめぐって――?
殺意は走る! (帯より)


【登場人物】
坊っちゃん 坂井繁道……サカ・プロバイダ社長。プロダクトBYのスポンサー。
マドンナ 山谷夕菜(旧姓早見)……山屋旅館女将
山嵐 薄田刹那……フリーの映画監督
タヌキ 福原彩香……ルポライター
赤シャツ 海江田成仁 ……不動産業者
野だいこ 柳津俊……フリーライター
うらなり 瓜生慎……トラベルライター


本山伍一……ヤマトテレビ映画部総括プロデューサー
可能克郎……”夕刊サン”デスク


【プロダクトBYとは】
旅行雑誌”鉄路”を出版する文英社と民法の雄ヤマトテレビが新しい映像文化のために共同企画した子会社。
 文英社からは編集局長の新谷が、ヤマトテレビからは本山映画部総括プロデューサーが出向して、それぞれ社長と副社長の椅子に着いた。
 瓜生慎も関係しているようだが、具体的な役割は不明。



【あらすじ】
 新しい映像文化のために設立されたプロダクトBYが最初に世に問う作品第1作は、ミステリ映画「四国・坊っちゃん列車殺人号」。
 監督は薄田刹那が選ばれ、なぜかこのプロジェクトに瓜生慎も参加することに。
(プロダクトBYの設立過程やスポンサーとの関わりで縁があったのです。縁は大事ですね。)
 実は瓜生慎は中学時代、1年間だけ愛媛県に住んだことがあり、その時、演劇部で「坊っちゃん」を上演し、薄田監督はその時の仲間であった。


 薄田一行が徳島の祖谷渓でロケハン中、付近で、不動産業者の海江田が殺害されるという事件が発生。
 実は海江田も「坊っちゃん」上映時の仲間であり、赤シャツを演じていた。
 海江田の葬儀で他の仲間とも再会し、ロケハンは坊っちゃん演劇会の同窓会の様相を呈する。
 しかし、海江田との金銭問題から薄田監督が容疑者に浮上。
 さらに瓜生慎は山屋旅館の女将のマドンナ・夕菜にも疑惑の目を向ける。
 そんな中、タヌキ校長役だった福原彩香が行方不明となり、夕刊サンに死体写真が送られて来た。
 瓜生慎は可能克郎を電話で呼び出し、関係者についての聞き込みを始める。


  [wikipedia:坊っちゃん列車]


伊予鉄道 坊っちゃん列車に乗ろう
  http://www.iyotetsu.co.jp/botchan/
トリップアドバイザー
  http://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298230-d1878207-Reviews-Bocchan_Train-Matsuyama_Ehime_Prefecture_Shikoku.html


【坊っちゃんワールドとは】
文学の里を名乗る坊っちゃんの名を借りたテーマパーク。道後温泉の振鷺閣のミニチュアや坊っちゃん列車の静態保存などで客を呼ぼうとした。マドンナの嫁ぎ先である山屋旅館が中心になって建設したが、企画倒れに終わり、山屋旅館は金銭的に困ることになる。
(どうやら本作品中のフィクションのようです)


【感想】
 中学時代に一緒に演劇をした仲間たちのその後。
 皆さん色々ありますねえ。(ライター率が高い!)
 平凡な結婚をして平凡な家庭を築いている(しかし非凡な探偵として活躍してますが)瓜生慎は勝ち組でしょう。
 そしてそんな中学時代の仲間でも、色々あって加害者となったり被害者となったり。
 悲しいね切ないね。
 しかも被害者はそれ相当の悪人だし、加害者はそれ相当の同情の余地があるし、それでも加害者は探偵役の瓜生慎によって明らかになって犯罪者と暴かれるし、辻真先ワールドが好きだから読んでるんであって、貴重な余暇の時間にこんな切ない小説なんか、普通は読みたいと思いませんよ。


 しかしプロダクトBYなんて、積極策に出たものです。
 瓜生慎も参加しているようですが、具体的な役割は何なのでしょうか。
 映画の原作者やシナリオライターでもないらしいし。
 なお、物語中では、映画 「四国・坊っちゃん列車殺人号」のストーリーは薄田監督が執筆中で、試写会まで極秘扱いということになっています。
 しかしこの薄田監督、中学時代はサッカー部主将で、坊っちゃん演劇には山嵐役として特別出演したということです。
 もしやこの特別出演時に演劇や映画の世界に目覚めたということなのでしょうか。
 その後、映画やプロダクトBYはどうなったのでしょうか。
 瓜生慎シリーズは残るところあと2作書かれたようですが、その時に触れられているのでしょうか。

 
 さて、本書を読み終わったところ、少し疑問点が残りました。
 その件についてはネタバレになりますので、ネタバレ専門ブログにて書かせて頂きます。
 本作品を読まれた同士の皆様、ご意見ご感想ありましたら、ネタバレ専門ブログにてお待ちしております。


少年少女・ネタバレsalono(ネタバレ注意!)
 四国・坊っちゃん列車殺人号 ネタバレ感想会
  https://sfklubo.blog.jp/archives/12884337.html
  
ブクログ http://booklog.jp/item/1/4334746713
読書ログ http://www.dokusho-log.com/b/4334746713/
読書メーター http://bookmeter.com/b/4334746713


■[日々の冒険]贋作『坊っちゃん』殺人事件 の暗澹
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20140207/p1
■[名作文学]【百年読書会】『坊っちゃん』その後おれはうらなりになった
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20090709/p1


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posted by SF Kid at 20:57| Comment(0) | TrackBack(1) | 探偵小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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