3月末でジオシティーズが終了になるので、引っ越し作業をしています。
「最近読んだ本より」コーナーに雑誌『ZEN[然]創刊号』の感想文がありました。
「最近読んだ本より」コーナーはHPに置くよりブログの方が向いていると思い、こちらのブログに転載しておきます。
そもそも雑誌 ZEN[然] とは何なんでしょうか。
日経BP社の雑誌を郵送で定期購読している人に無料で送られてくるという、オールカラーの大判の雑誌だったようです。
年2回刊行で、3号だけ発行されたようです。
滋賀県立図書館のデータです。
http://www.shiga-pref-library.jp/wo/zsm/srh_do?detail_page=3768&zsm_ses_nm=20151019092211_zsm
http://www.shiga-pref-library.jp/wo/opc_srh/srh_detail?detail[sid]=3203534
「日経パソコン」を定期購読している上司に見せて頂きました。
こういう忘れられた希少な雑誌の記録も何かの役に立つかもしれないので、こちらに記録しておきます。
ZeN 然 創刊号(2001年6月号)日経BP社発行
「知的好奇心を刺激するオフタイムマガジン」というキャッチフレーズのオールカラーの大判の雑誌。
小学館の「サライ」のように、中年以降の世代の余暇や趣味をテーマに編集しているようです。
この雑誌の第三特集「進め!永遠の科学少年」が、ページ数が少ないながらも面白い。
『大人の心をときめかせるアナザー・ワールド
子供の科学ばなれなんてなんのその。
いま30代から40代の男性を中心に、
科学を切り口にしたグッズや本がウケているらしい。
かつて理科の実験やラジオの工作に胸をときめかせた熱い思いが
ふたたび蘇ってきたということか。
好奇心に年齢はない。
科学少年は永遠に不滅なのである。』
というイントロで始まっています。
言いたいことを短く、うまくまとめたいい文章ですね。
私も文章中心のHPを開設している以上、こんなイントロを書きたいものです。
この特集では、学研の『大人の科学』シリーズや、科学少年垂涎のグッズ専門店なんかを紹介しています。
特集の題名を見た瞬間に気付いたのですが、「科学少年」と「SF」には、通じるところがあるのではないでしょうか。
この特集でいう「科学少年」を「SF少年」「SF少女」と言い換えることもできるのではないでしょうか。
上のイントロのような的確な文章を書けなかったけど、それこそ私の言いたかったことなのです。
以下、印象に残った二つの記事を紹介しますが、「科学少年」を「SF少年」「SF少女」と読み替えて読んでください。
【テルミン 訪れなかったもうひとつの未来の音を奏でる】
テルミン―怪しくも、どこか懐かしい音色を持った楽器と紹介されています。
1920年、ロシアの科学者レフ=テルミンによって発明された世界最初の電子音楽で、空間にかざした手の動きによって楽器に触れずに演奏するそうです。
今年の2月3日の朝日新聞日曜版でも、大阪でテルミン愛好家を結ぶサークルを立ち上げた中西真生さんが紹介されていました。
この雑誌の特集では、中西さんが弟子入りしたという日本で唯一のプロテルミン奏者・竹内正実さんを紹介しています。
「1920年代特有の、想像力みなぎる未来志向を本人も楽器も体現しているところにひかれますね」
いいですねー。
実は当HPも未来に夢と希望を持っていた頃に書かれたSFを採り上げているはずなんです。
「テルミンは残念ながら、シンセサイザーのようには普及しなかった。訪れなかったもうひとつの未来の楽器。こちらが主流だったら、もっとロマンチックな世の中になっていたかも」
“訪れなかったもうひとつの未来”―いいフレーズですね。
考えてみれば、『メトロポリス』『2001年宇宙の旅』をはじめ、SFでは“訪れなかったもうひとつの未来”を描いています。
当HPですでに取り上げた『宇宙バス』や『消えた五人の小学生』などでもそうです。
今後もどんどん採り上げていくつもりです。
ところで、未来が無数に分岐するという「パラレルワールド理論」では、これらのSFが現実になった世界も存在することを否定していません。
“広まらなかったもうひとつの国際語”エスペラント語が普及している世界も存在しているかもしれませんね(もっとロマンチックな世の中になっていたかな?)
「パラレルワールド理論」については私は非常に興味があり、それをテーマにしたHPを開設するつもりでしたが、今はそこまで手を広げることはできません。
当HPでも、パラレルワールドSFを採り上げるつもりであります。
閑話休題。レフ=テルミンはまさしく「永遠の科学少年」であり、97歳で亡くなる晩年には「時間顕微鏡」の開発による不老不死の研究にも取り組んでいたそうです。
まさしく「永遠のSF少年」でもあり、いい意味での「マッドサイエンティスト」(その時代の常識のはるか先を行っている)であります。
この7月には東京・恵比寿ガーデンシネマでテルミン博士のドキュメンタリー映画『テルミン:エレクトロニック・オデッセイ』が公開されるそうです。
私の住む都市周辺では上映されるのだろうか?ぜひ観たいですねー。
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テルミン―エーテル音楽と20世紀ロシアを生きた男
また、竹内正実さんのソロCD『訪れざりし未来』(ネクストレコード)(すばらしい題名だ。当HPのサブタイトルにしたいほど。)も発売されるそうです。

訪れざりし未来~Compositions for theremin - 竹内正実
[wikipedia:レフ・テルミン]
[wikipedia:テルミン]
【科学少年が「未来」を創る】
瀬名秀明さんのエッセイ。
ノスタルジックな回顧談でもあり、未来を創る大人と子供のための人生・育児論でもあり、「なぜ学問するのか」という学問・教育論でもあります。
学校の理科の教科書に載せてもいいのでは?
特に素晴らしい部分を引用させて頂きます。
(例によって、「科学」を「SF」に読み替えて読むのも面白いです。)
「たぶん「科学少年」とは、単に科学が好きな少年のことを指しているのではないのだろう。身のまわりにある不思議なものに興味を持って、思わず手を伸ばしてしまう、そういう一種本能的な好奇心の「総体」なのだ。」
「子どもの頃の私は2001年を遥か遠くの未来だと感じていた。そしてその未来は、いつか誰かが自分に与えてくれるものだと思っていた。しかしロボットの開発者に話を聞きながら実感したことがある。おそらく未来というのは、誰かが与えてくれるものではなく、私たちひとりひとりがいまこの手で創っているものなのだ。いま誰かが創っているロボットが、映画が、おもちゃが、医薬品や家電製品が、次の瞬間に誰かの「未来」になる。」
「新しいものを生み出して共有すること、それに何よりの楽しみを見出すこと、それが自然と「未来」に繋がってゆく。「科学少年」の心意気は、少年時代だけで消え去るのではない。むしろ大人になってしまったいまこそ、自分の五感をフルに使えば子どもの頃よりもっと大きな未来を創れるはずだ。そうして世界のあちこちでさまざまな「未来」が生み出され、私たちは互いにその「未来」たちをキャッチボールする。大人同士だけでなく、子どもたちとも。その「未来」の総体が「いま」なのである。
科学少年のこころは、レトロな標本箱にしまっておけるようなものではない。みんなで「博士」になって遊ぶのだ。それが次の瞬間に現れる、本当の「未来」へと繋がってゆくのである。」
最後の引用部分、いいですね。未来志向ですね。
上から一律に押し付けられた「未来」(「歴史」と読み替えることもできる)ではなく、独立した個人の総体である「みんな」で創っていく未来……。
引用していて気付いたのですが、当HPを作るに当たって、私の心は、ノスタルジックな方向が強すぎたように思います。
読み返しもいいのですが、これからの未来につながる方向での読み返しを心がけないと、単なる過去逃避になりかねないと反省。
いやー、本当に、いい雑誌の特集に巡り会ったものだ。上司に感謝。
2001.7.8(日)



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